CPUの選び方
はじめに
自作PCを一度は経験した、またはこれからしてみたいといった方向けです。
また、記載している内容に関して『この選び方が正しい』というわけではありません。
人によって考え方が違ってくるので参考程度に見ていただけると幸いです。
*PCの構成イメージ
CPUの種類について
IntelかAMDを選ぶ・・・といった話は割愛します。この後の話はどちらにも当てはまるからです。
CPUには大別して
サーバー向け・デスクトップ向け・ノートパソコン向けに分かれます。
難しく考えることはありません。どれもOS(Windows)をインストールして使用できます。
サーバー用CPUでWindowsをインストールしてゲームをする。これは可能です。
では何が違うのか。
ポイントをまとめてみました。各ポイントを解説していきます。
ソケット
CPUのサイズです。厳密にはマザーボード(以下M/B)のCPUを乗せる部分なのですが
CPUのサイズとM/Bのソケットは同じでなければ付きません。
サーバー向けはソケットが大きく、ノート向けは小さいです。
殆どの初心者がつまずくCPUとM/Bの関係性ですがソケットで考えればそんなに難しいことはありません。
例えばIntelのデスクトップ向けCPUを選ぶとソケットは『LGA1150』と書かれています。
そうするとM/BでX99、Z97、Z87、H97、H87~といっぱいあるぞ・・・となるのですが上記はすべてソケットLGA1150です。つまりどれでも選べます。*1
逆にZ170、H170、B150などは『LGA1151』です。こちらのM/Bを選ぶことはできません。
つまりCPUのソケットサイズで選ぶM/Bが変わってきます。
M/Bの選び方についてはまた別の記事を書きます。
ソケットでは結局どれ選べばいいの?
小さいPCを作りたい!場合サーバー向けを選ぶことは難しいです。
サイズに制約がなければどれでも選ぶことができます。
*赤枠がソケット、青枠がCPU。 組み立てはソケットにCPUを乗せるだけ。
PCIレーン
『CPUと直接接続できるバス数』の事です。バス数とは線の数と思ってください。
また接続する機器によって使用するバス数は異なります。
またCPUに表記されている数値は『CPUと直接接続できる』バス数でM/BのチップセットにもPCIレーン数が存在します。
ただしこちらはCPUとの直接接続に比べると'低速'です。
PCを組み立てたとき総レーン数は『CPUのレーン数 + M/Bのレーン数』となりますが実際は高速なCPUのレーンと低速なM/Bのレーンとなります。
*PCIレーンのイメージ
PCIレーンとは?細かく解説します。
PC内部ではほぼ全ての通信はこのPCIレーンで行われます。
USB、LAN、SATAなどなど・・・様々な規格ですがCPUやM/Bとの接続はレーンを使用しています。USBやSATAの差込口などは無限に増やせる訳ではなく最終的にレーンの限界数を超えると接続できなくなります。
(カスケードを行えば増やせますがスイッチ動作の為どんどん低速になります。)
また、高速で通信を行いたい機器は複数のレーンを使用します。
例えば性能の高いグラフィックボードは高速な処理を行うためレーン数を16使用します。
サウンドカードは高速な処理を求めないので4レーンを使用しますなどなど。
高速なレーンと低速なレーン?細かく解説します。
より高速な処理を求める機器はCPUのレーンを使用し、速度を求めない・頻繁にCPUと通信を行わない機器はチップセットのレーンを使用します。
例えば
グラフィックカードはCPUと連携して演算を行うためCPUのレーンに接続します。
増設したUSBは速度を求めないのでチップセットのレーンに接続します。
PCIレーンでは結局どれ選べばいいの?
端的に言えばマルチGPU(グラボ2-3枚)を構成したい!
沢山機器を接続したいが性能低下が許せない
そんな方はサーバー向けを選んでください。
デスクトップ向けでもマルチGPUは可能ですがレーン数の制限から多少性能が低下します。
*PCIx16スロット。この差込口に16レーン分が来ている。
メモリ接続(チャンネル)
メモリーとの接続チャンネルのことです。名前の通り
デュアルはメモリ2枚と同時に通信でき、クアッドは4枚です。
デュアルなら4GBx2枚のほうが高性能です。
クアッドなら2GBx4枚で構成できます。(デュアルですると性能が低下します)
こちらはメモリの選択肢で解決できるのでそこまで重視しなくて大丈夫です。
*メモリはCPUと直接接続されます。
キャッシュ
CPUに来た命令(処理)を一時的に保存する場所です。
ここに保存された命令をCPUは実行していきます。ただしCPUの処理速度にも限界があるので
高速なCPUには容量の大きいキャッシュが入ります。
性能の低いCPUにはキャッシュがさほど必要でないため少なくなります。
CPUを選ぶ際、処理性能のひとつの判断基準にすることができます。
消費電力
消費電力の大きさ=発熱量
と言っても過言ではありません。サーバー向けは殆どが消費電力が大きいです。
デスクトップ向けには高性能・高発熱なものから消費電力を抑えた低発熱の製品もあります。
ノートパソコン向けは消費電力は低く、性能もデスクトップには及びません。
価格
CPUを選ぶ上で性能の次に判断基準にあんるであろう価格です。
サーバー向けの製品は殆どが10万円以上します。
デスクトップ向け製品では10万を超えるものは一部で1万~5万程度がほとんどです。
ノート向け製品は殆ど市販されていませんがM/B込みで1万~5万程度です。
結局どうやって選べばいいのか
あなたが『どんなPCを作りたいのか』です。
なんでもいい!一番いいヤツをくれ!
サーバー向け製品で組むべきです。値段は相応なものとなりますが制約が殆どありません。
消費電力を抑えた小型のPC
な方はデスクトップかノート向けの製品を選ぶべきです。制約は多いですが考え抜いて作ったPCはきっと満足なものになるでしょう。
(録画機やIPカメラのサーバーなど常時起動するPC向けです。)
価格を抑えた高性能なPC
予算やほかのパーツとの相談になってしまうのですが基本的にデスクトップCPUから欲しいCPUを選び、予算に応じてランクを上げ下げするのが良いのではないでしょうか。
さいごに
余談ではありますがデスクトップPCのIntel i7とノートPCのIntel i7は全くの別物です。*2
処理性能でいえばノートのi7よりデスクトップのi3のほうが性能が高いこともあります。
特に最近の製品では一体型PCが増えており、CPUにノート向けCPUを搭載した機種も見かけます。Intel i7搭載とうたっていますが実際は性能が良くなかったりします。(i7は搭載されているので嘘は言ってないのだが・・・)
見分け方を以下に記載します。
この英字がCPUの種類や目的を表しており
--デスクトップ向け製品--
英字なし = 通常のデスクトップ向けCPU
X = extreme デスクトップ向けだが、実際はサーバー向け製品に近い
K = 倍率ロックフリー オーバークロッカー向け
S / T = 省電力CPU。処理性能を落とし、発熱と消費電力を抑えたモデル
--ノート向け製品--
B / M / MX / HQ / U / Yなど = ノート向け
となっています。i7だから凄い。と思っていると損をするかもしれません。